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【担当者に聞いてきた!】Lazuli株式会社が展開するtoエンタープライズ企業のイベントマーケティング戦略

【担当者に聞いてきた!】Lazuli株式会社が展開するtoエンタープライズ企業のイベントマーケティング戦略
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2024/10/02

こんにちは、BtoBセミナーlab.研究員の田中です。
BtoBセミナーlab.では、ノウハウやレポートなど、BtoBにおける様々なセミナー(ウェビナー)関連情報をお届けしています。

セミナー担当者・ウェビナー担当者の業務を深掘りする企画【担当者に聞いてきた!】。

本日は、AI/ML技術を用いた次世代のデータ活用基盤、PDP(プロダクトデータプラットフォーム)を提供するLazuli株式会社さんにインタビューをしてきた結果をレポートします!

Lazuli株式会社

「商品情報を整理し、誰もがアクセスしやすく、使いやすい形にする」をミッションに、サプライチェーン上にいる誰もがシンプルかつ簡単に商品データにアクセスし、活用ができる世界の実現を目指すLazuli株式会社さん。そのためのプラットフォームであるLazuli PDPを提供する同社で、セミナー・ウェビナー施策を担当するマーケティングマネージャーの陣内さんにお話をうかがってきました。
※記載内容は、インタビューを行った2024年6月当時のものとなります

陣内 真瑶さん陣内 真瑶さんLazuli株式会社
マーケティングマネージャー

目次

  1. オフラインに軸足を置いて施策を展開する意図
  2. スムーズに商談につなげるための取り組み
  3. 手探りの中でたどり着いた、エンタープライズ向けイベント施策の型
  4. ターゲット企業の社内を登っていくための設計
  5. 守備範囲広く、関係者を巻き込んで進める
  6. 単独ウェビナーの優先度は見直す余地あり?


オフラインに軸足を置いて施策を展開する意図

─事前の打ち合わせで、オフラインを中心に施策を展開されているとうかがいました。BtoB界隈でも、展示会やセミナーを中心にオフラインのイベントが戻ってきている感覚がありますが、貴社としては現状どのような整理でしょうか?

陣内そうですね、方向性としてはオフラインを多くという状況ではあるのですが、実はウェビナーも毎月1回は実施するということにしているので、実際の開催数としてはオンライン、オフラインで同じくらいだと思います。

─なるほど。オンラインでのウェビナー形式は毎月1回の実施目標があるということですが、オフラインについてはいかがですか?

陣内オフラインについてはまだ具体的には固まっていない状況です。今年の1月くらいから今やっているオフライン系のイベントをスタートしているのですが、最近になって型が見えてきたので、7月から始まる新しい期(*)からは再現性を持って回していけるようにしようと、現在諸々策定しているところです。
*Lazuli 株式会社さんは6月決算

─正に今計画を詰めている状況ということですね。オフラインに軸足を置かれているという点がとても印象的なのですが、どういった意図がありますか?

陣内1つ大きな点としては、やっぱりコミュニケーションの密度があります。Lazuli PDPはまだプロダクトとしては開発途上なのですが、それにも関わらず大手企業様に数多くご導入いただけているのは、製造・小売業界にある根本的な課題に対するプロダクトの思想であったり、弊社メンバーの熱量やお客様へ寄り添う姿勢などが受け入れられているからだと思っています。なので、オンラインではなくオフラインで直接顔を合わせてコミュニケーションがとれるという場は、弊社のそういった特長を知っていただく上で重要だと考えています。
もう1つ、実際にオフラインのイベントをやってきていて、ウェビナー形式よりもクローズドなオフライン勉強会のような形式の方が上位役職者のニーズが高いと感じていて、そこも大きな要素だと考えています。テック系の企業とかだと交流会って割と盛んに行われているイメージですが、実は製造業や小売業においても「他の企業がどのようにやっているか勉強したい」、「他の企業の方と繋がって情報交換したい」という気持ちがあって、勉強会のような場を求めている方が特に上位役職者には多い印象です。

オフラインに軸足を置いて施策を展開する意図

─オフラインという形が好まれるのは、製造業や小売業の業界特性も強いというイメージですか?

陣内どうなんでしょう。ただ、皆さん新しい知識や他企業のお取り組みをインプットすることを大切にされている印象があるので、それを実現できる場作りをした結果この形になった、という感じですね。実際オフラインのイベントではLazuliの話はあまりしていなくて、参加者の方が知りたい内容をできる限り多くして、その中にLazuliがやっている根幹の話につながる要素を少しだけ組み込んでおく、というコンテンツになっています。その結果、内容にご満足いただいた方やLazuli自体に興味を持っていただいた方と商談につながる、といういい流れになっていると思います。


スムーズに商談につなげるための取り組み

─オフラインイベントから商談への流れは、勉強会後の個別の名刺交換の場などで直接商談化する形ですか?それとも、勉強会後のインサイドセールス等のプロセスを経て商談化するような形でしょうか?

陣内少し詳細に言うと、例えばExecutive Salonという形態の場合は、毎回10名くらいのお客様を招待して、弊社メンバー1名を含めた3名の登壇者が話をするというものなのですが、私が司会進行などもしているので、私が参加者の皆さんと名刺交換をさせていただいていて、開催後に御礼の連絡をしています。そのタイミングで「よろしければ一度Lazuliの紹介もさせてください。セールスメンバーから連絡させていただきます。」という内容も入れていて、その流れで日程調整していただけています。

─それはとてもスムーズな流れですね!先程おっしゃっていたように、そもそものコンテンツの満足度が高いからこそだと思いますが、上位役職者であったり、新しい知識のインプットを大切にしている、という方々が満足されるコンテンツを作るのは大変ではないですか?

陣内そうですね。我々も各業界に関することはまだまだ勉強中でもあるので、そういった面はすごく大変ですね。ただ、今Executive Salonにご参加いただいた方に次の登壇をお願いするということをやっていて、それはいいループになっていると感じています。Executive Salon内のコミュニケーションで、誰がどういったことを普段やられていて、何に興味を持たれているかということを理解しているので、それを基に企画・依頼をする流れになっています。登壇者の方も会の雰囲気や意図を理解してくださっているので、スムーズにコミュニケーションを進められています。

Executive Salonには著名な登壇者が並ぶExecutive Salonには著名な登壇者が並ぶ

─そもそもの目的である顧客候補を生み出しつつ、そういった方を惹きつけるための登壇者候補も見つけることができて、めちゃめちゃいい施策ですね!ちなみに、10名の参加者は毎回結構入れ替わるのですか?

陣内毎回必ず最低5人は新規の方に来ていただくようにしています。新規の場合は基本BDRが集めていて、それ以外は商談中のお客様を引き上げ目的で招待したり、既存顧客をロイヤルティ向上の目的で招待するケースもあります。


手探りの中でたどり着いた、エンタープライズ向けイベント施策の型

─Executive Salonなど、エンタープライズ企業ターゲットならではという側面もあってとても興味深いですが、陣内さんはLazuliに入られる前からエンタープライズ系のマーケティングをされていたのですか?

陣内いえ、前職もBtoBではあったのですが、海外の起業したてのスタートアップをターゲットにしたSaaSを新規事業として立ち上げていたので、どちらかというとBtoCマーケティングに近いことをやっていました。なので、Lazuliに入ってから初めてエンタープライズ向けのマーケティングをやることになりました。

─それはなかなか大きな転換ですね。その中で、セミナー施策はどのような取っ掛かりで始めたのですか?

陣内イベントという括りで言えば、一番最初は大きなイベントにスポンサードという形で登壇をしました。ただその施策が大ゴケして、そのフォローアップとしてExecutive Salonの1回目を代替施策として行ったという流れですね。他にもウェビナーなどは何回かやっていますが、途中でプロダクトのメインターゲットを変更したことなどもあって、初めのうちはあまりうまくいかないことが多かったです。回数を重ねるうちに、徐々に成果が出るようになってきたというところです。

─走りながら修正をしつつ探っていった結果、今の形にたどり着いたという感じですね。webサイトで確認できる範囲では、現在は「海外イベントの報告会」と、先程も出た「Executive Salon」、あとは「Lazuli Academy」の大きく3つのカテゴリでセミナー施策を展開されているように見えますが、他のカテゴリも含め貴社内での整理を教えてください。

様々なカテゴリのイベントを開催様々なカテゴリのイベントを開催

陣内まず、「Lazuli Academy」は実務もやられているお客様向けの勉強会で、「Executive Salon」が役職レイヤーが高く、戦略立案などを担われている方向けの勉強会になっています。あとはより対象を狭めたお食事込みの勉強会である「ラウンドテーブル」も行っています。「海外イベントの報告会」は割と広報やブランディングの側面が強いですね。あとは月1回のウェビナーと、大きいセミナーイベントへのスポンサード登壇などがあります。


ターゲット企業の社内を登っていくための設計

─結構盛り沢山ですね。今新しく出てきた「ラウンドテーブル」について詳しくうかがえますか?

陣内ラウンドテーブルはExecutive Salonより少し規模を小さくして、既存顧客1名を含む5〜6名くらいのお客様を招待して、冒頭30分程度Lazuli PDPの活用例を既存顧客の方にお話いただき、その後食事をしながらディスカッションする、という流れになっています。

─割とカスタマージャーニーの中でも契約に近いところにいるお客様に実施する施策、というイメージですか?

陣内そうですね。お声がけするお客様としては、商談中であと一押しで決まりそうなお客様や、商談開始前だけどものすごくハマりそうなお客様が中心になっています。密度の高いイベントになるので、パーソナリティを把握できている方のみを招待するようにしています。

─面白いですね。実際に活用している方と密度高くコミュニケーションとれるのは、一押しとしてはかなり効果高そうですね。

陣内あと弊社の場合製造業の方も小売業の方もリストにいるので、お互いにどんなことに取り組んでいるのかを知ることができるというのも良い点かなと思います。

─一方で「Lazuli Academy」は、カスタマージャーニーで言うと初期の段階で使う施策というイメージですか?

陣内そうですね。決裁が上がっていくという意味ではもちろんまだ遠いのですが、現場でLazuliと関わる方にプロダクトについて理解してもらったり、メリットを感じてもらわないと継続的な接点が作れないので、そういった方に興味を持っていただいて、情報を持ち帰って報告していただける場を作っているというイメージです。

顧客のフェーズに合わせた施策設計顧客のフェーズに合わせた施策設計

─ターゲットがエンタープライズ企業なので、社内でどうやってエスカレーションしてもらうかという点が重要ですよね。そういう意味では、Lazuli Academyでまず繋がって情報を持って帰っていただきつつ、次のステップとしてExecutive Salonを紹介して、先方の社内で「私は参加資格無いので、部長ちょっと参加してみませんか?」みたいなトスアップの流れを作れるとキレイですよね。

陣内そうですね。ただまだLazuli Academyは1回しかやっていないのもあって、これから型を探っていくという状態ですね。


守備範囲広く、関係者を巻き込んで進める

─全体感としてはお客様のフェーズ別にかなり打ち手が整理されている印象で、一方その分施策の幅も広いかと思います。今はどういった体制で施策を展開されているのでしょうか?

陣内Lazuli Academyはカスタマーサクセス(以下「CS」)と私、Executive Salonがセールストップの執行役員と私、ラウンドテーブルが同じ執行役員とCSと私、ウェビナーは私1人で、という感じでそれぞれやっている状態です。まだフェーズ的に組織の型にそこまで縛られていない状態なので、施策によって関わるメンバーを柔軟に調整しています。

─企画出しから実行・管理までされていて、イベント関連だけでもかなりのボリュームかと思いますが、マーケティング担当としては他にどのようなことをされているのでしょうか?

陣内ソーシャルまわりと、プレスリリース、あとは事例記事のインタビューなどのコンテンツ作りをやっています。コーポレートサイトのアップデートとかも私の担当ですね。

─広報とかもカバーされていて、かなり幅広いですね。

陣内そうですね。割と何でもやるというスタンスなので、結構色々と拾っちゃって、結果色々やっているという状態ですね。

─スタートアップの場合、そういう方が存在としてはとても重要ですよね。ただ業務が幅広いかつ量も多い分、稼働の配分や優先順位付けが大切になると思いますが、そのあたりはどうされていますか?

陣内その月々でやらなくてはいけないことが流動的なので、配分とかは細かく考えていなくて、随時優先順位を判断してやっています。イベントで言えば、日程が決まっているのでそこから逆算して、他の業務との優先順位を決めて進める感じです。

─日々変化も激しいかと思うので、優先順位の付け方が重要そうですね。それだけ業務の幅が広いと、目標設定なども難しくなりそうですが、現状どのような指標を追っていますか?

陣内元々は有効商談数を目標にする予定だったのですが、やっぱり業務範囲が広すぎるよねということで、今の時点では特定の指標は追わずに、総合的に見ている状態です。ただ、「企業」「部署」「役職」「関心のあるキーワード」の軸を基にLazuli PDPがささりやすい人というのがある程度見えてきている中で、そういった方のうち、何人と接点を作れるかというのに個人的には注力をしていきたいと考えています。

─有効ターゲット数のようなイメージですね。施策を始めて半年で、勝ち筋のようなものが見えつつあるのはとても良いですね。


単独ウェビナーの優先度は見直す余地あり?

─冒頭で、来期に向けて計画を策定中とおっしゃっていましたが、何か新しい取り組みなどは予定されているのでしょうか?

陣内100名規模くらいの弊社主催のイベントをいくつか開催する予定で、既に7月に1回開催が決まっている状態です。

─現状やっていることは継続しつつ、今後は規模大きめのイベントも追加でやっていくとなると、ますます業務が逼迫しそうですね😅

陣内そうですね。ただ、ウェビナーについては検討の余地があると思っています。

─現状ウェビナー形式のものはあまり貢献度が高くない感じですか?

陣内ウェビナーはかけるリソースがそこまで大きくないという点ではいいのですが、新規有効リードの獲得という面ではどうしても貢献度が低いので悩ましい、というところですね。ただ最近は共催ウェビナーのお声がけをいただくことも増えているので、単独でのウェビナーは減らすけど、共催ウェビナーは実施していくという方向で考えています。

─共催の場合、リソース面ではいかがですか?

陣内ケースバイケースですね。おおまかな流れとしては、初回の打ち合わせでそれぞれ自社の紹介をした上でウェビナーのテーマや内容をディスカッションして、以降はSlackなどで細かい部分を詰めつつ、スライドが完成したらお互いにシェアして当日を迎える、という形で、この流れであればそこまでリソースはかからない状態です。ただ、共催ウェビナーの形式や内容によっては、登壇者の話す内容を細かく調整しなくてはいけない場合や、テーマに合わせて新規に作成するスライドが発生する場合があるので、それなりにリソースがかかりますね。

─共催相手との調整や新規コンテンツが増える分だけ、かかるリソースも増えていきますよね。他には何か考えられていることはありますか?

陣内これはあくまでも可能性の話になりますが、実際にデータを操作する方向けのイベントを企画できればと思っています。ただそのためには、共通言語としてのデータ操作の知識が必要になってくると考えているので、現在テックスクールに通ってデータの構造やPythonなどを勉強しています。その前提知識があって初めて、そういった方が業務でどのようなデータをどのように分析しようとしているのか理解できたり、どんな課題を持っているか理解できたり、イベントでお会いした時にちゃんと会話ができると思って取り組んでいますね。

単独ウェビナーの優先度は見直す余地あり?

─それは素晴らしいですね。

陣内ただ如何せん難しすぎて、すごく大変です(笑)

─そうですよね😅それが形になる時を楽しみにしています!本日はお忙しい中ありがとうございました!

Lazuli株式会社:Lazuli株式会社
Lazuliは2020年7月に設立されたスタートアップです。高度なAI技術を駆使し、クラウドサービスとして、DXやEC、マーケティングの担当者など、ビジネスに関わる誰もが世界中の商品情報を利用できるSaaS「Lazuli PDP」の開発・提供を進めています。

Lazuliでは現在、絶賛採用募集中です!Lazuliでは現在、絶賛採用募集中です!





さて、今回はLazuli株式会社さんへのインタビューレポートをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?

  • なぜオフライン中心なのか
  • 顧客と登壇者を同時に獲得する合理的な施策
  • toエンタープライズならではのイベント設計
  • 単独ウェビナーの優先順位付け

などなど、とても興味深いお話ばかりでしたね。
エンタープライズ企業向けのイベントマーケティングの考え方として、参考になる内容が盛り沢山のインタビューでした!

皆さんも、「取り入れてみたい!」と思った話や「ここもう少し知りたい」などがあれば、ぜひSNSで教えてください!

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