【担当者に聞いてきた!】SEO支援会社ならではの戦略でウェビナーをアーカイブ配信する株式会社ニュートラルワークス
2024/06/07
こんにちは、BtoBセミナーlab.研究員の田中です。
BtoBセミナーlab.では、ノウハウやレポートなど、BtoBにおける様々なセミナー(ウェビナー)関連情報をお届けしています。
本日は、セミナー担当者・ウェビナー担当者の業務を深掘りする企画【担当者に聞いてきた!】で株式会社ニュートラルワークスさんにインタビューをしてきた結果をレポートします!
オフィスを構える辻堂駅はとってもいい雰囲気!
豊富なノウハウとアイデアの力を武器に、3,000社以上の支援実績を持つデジタルマーケティングカンパニーの株式会社ニュートラルワークスさん。ミッションの「ベストな答えを、ここ湘南から。」にもあるように、湘南・茅ヶ崎を拠点にワンストップでビジネスのグロースを支援しており、その実績には多くの有名企業も名を連ねます。
今回はニュートラルワークスさんでウェビナー施策を担当する新井さんにお話をうかがってきました。
デジタルマーケティング事業部 広報 / インサイドセールス
目次
- SEO支援会社ならではのアーカイブ戦略
- 業務範囲は広いが、だからこそのメリットも
- 1人体制でも回るよう、ツールを最大限活用
- ハウスリストを酷使しない戦略
- 2社共催とカンファレンスはメリデメで使い分け
- 支援会社ならではの悩み
- 直近では共催に注力しつつ、チャレンジしたいイベントも
SEO支援会社ならではのアーカイブ戦略
─webサイトを拝見しておどろいたのですが、毎月かなりの数のウェビナーを開催されてますよね?
新井そうですね。過去に配信した企画のアーカイブ配信になっていて、新規のものはそのうちの2~3本なんです。実はこれにはSEOが強い当社なりの戦略があって、自社サービス領域のウェビナー申し込みページを常に多数置いておくことによって、「関連キーワード + ウェビナー」などで上位表示されやすくなるようにしているんです。アーカイブ配信も1つのSEOコンテンツとして、定期的に配信される状況を戦略的に作っています。
ニュートラルワークスさんのセミナー一覧ページには多くのウェビナー配信が並ぶ
─SEOを意識してアーカイブ配信を行うというのはとても面白いですね。
新井自社でSEOがしっかり行えているからこそ、SEO関連のウェビナーを開催できるというのもあるので、当たり前と言えば当たり前なのですがちゃんと取り組むようにしています。
─「ウェビナーの申し込みページ1つ取っても、対策が大事なんですよ」というのでも立派なウェビナーコンテンツになりますね。
新井まさにそういったこともコンテンツ化していて、自社のLPの改善手法であったり、「こういう風にしちゃうと全く問い合わせが来なかったけど、SEOでこういう工夫をしたら問い合わせが来るようになりました」というように、失敗例も含めた支援会社の裏側はなかなか聞けないと思うので、そういった取り組みもウェビナーコンテンツとして提供しています。
業務範囲は広いが、だからこそのメリットも
─新規のコンテンツは数本程度で、あとはアーカイブ配信ということでしたが、運営はどういった体制で行われていますか?
新井現状私1人で運営しています。企画を考えるところから、共催ウェビナーであれば共催先の検討やお声がけをしたり、ディレクションをしたり、コンテンツの提案や作成も行ったりしています。あとはウェビナー中の司会進行であったり、パネルディスカッションのモデレーターであったり、更にメール配信とウェビナー後のフォローアップコールも行っています。
─とても大変そうですね💦
新井大変そうに聞こえるかもしれませんが、逆に一貫してウェビナー施策に携われているからこそ、全体を通して伝えたいことのブレとか目的のズレとかが発生しないのが良いのかなと思っています。インサイドセールスについても、ウェビナーごとのターゲット像を誰よりもわかっているので、コールの優先順位や話す内容も明確で、そういったところが商談獲得にもつながっているかと思います。
CMO直下で幅広い業務をご担当
─確かに、工程間の齟齬は発生しないですし、次に向けた修正や改善などもしやすそうですね。
新井そうですね、PDCAはとても回しやすいです。あと基本的には1人でやっているのですが、ウェビナーの登壇者でもあるCMOの石田の意見も聞きながら進めています。
─では体制としてはCMO石田さんの直下に新井さんがいて、石田さんはアドバイザリー的にウェビナー施策に関与されている、という形でしょうか?
新井はい、そうですね。
─インサイドセールスもやられているというお話もありましたが、インサイドセールスの方は他にもおられますか?
新井もう1名います。私は、セミナー経由のリードについては主に対応するのと、一部問い合わせリードにも対応をしている状況です。
─すごく幅広く業務対応されているなという印象ですが、ウェビナーとインサイドセールス、あとは肩書にもある広報の3つだと、工数の配分は現状どのようにされていますか?
新井その時々の状況によってかわりますが、ウェビナー6:インサイドセールス3:広報1といった割合ですね。
─現在はウェビナーが業務のメインになっているということですね。兼務となるインサイドセールスや広報をやられていることによって、ウェビナー業務に役立ったことなどはありますか?
新井インサイドセールスに関しては、先程申し上げたように司会進行役で登場しているので、コールをした時に「司会の人かな」という感じで話を聞いてくれやすい面がありますね。広報については、企業間での交流が広報界隈は活発なので、オフラインでの集まりだったりオンラインだとXなどのSNSで絡んだ際に、あわせて共催の話をさせていただいたりしやすいというのはあります。
─確かに共催相手を探すという面では、広報を兼務されているというのは強いですね。インサイドセールスに関しては、ウェビナー終了後のコールの中で何かフィードバックなどを参加者からいただくこともあったりはしますか?
新井ありますね。弊社のウェビナーにご参加いただくのが、初学者ではなくて既にベースの知識があって更にSEOについて細かく知りたいという方が多いのですが、そういった方から「専門的なことが聞けてよかったです」といったフィードバックをいただくことで、コンテンツのレベル感の確認ができるというところはあります。
─テクニカルなテーマになればなるほど、ある程度の知識を持っている方が多い場合に「いやそれは知ってるんだよ」という反応にもなりかねないですよね。
新井おっしゃる通りですね。そのさじ加減がとても難しいと感じています。なので、ウェビナー中にコメントをしていただいたり、ウェビナー後のアンケートにご回答いただいたりして、すごく興味を持ってくれているなというのを感じられると、企画から全てやっている身としてとても嬉しいですね。直接手応えを感じることができます。
─ウェビナー中のコメントなども結構目を通されているんですか?
新井そうですね。ウェビナー内でのご質問内容を基に、関連しそうなトピックを引っ張ってきてコールをしています。
─他の企業では、ウェビナー運営とインサイドセールスは基本的にチームが分かれていると思うので、ウェビナー内での質問内容までちゃんとコールに落としこめていないケースも多そうですね。その情報があるかないかで結構結果が変わってくると思うので、そこは1つ重要なポイントですね。
新井コールで1to1の「あなた向け」の情報を入れられると、話を聞いていただけるようになりますね。
1人体制でも回るよう、ツールを最大限活用
─ウェビナー内でのコメントデータ活用というお話がありましたが、ウェビナーツールは何を利用されていますか?
新井Bizibl(ビジブル)というツールを利用しています。
─これまで様々なウェビナーの開催情報を見てきた中で、やっぱりツールとしてはZoomを利用しているケースが多いのですが、Biziblを利用されている理由はどういったものがありそうですか?
新井私が入社した時には既にBiziblが導入されていたのですが、アーカイブ配信がやりやすいというのと、見逃し配信のURLがウェビナー不参加者のみに自動配信される機能があって、申込者に対して取りこぼしなくフォローができるというのは大きいですね。他には共催ウェビナーとかの場合にはデイリーの申込者情報が必要なケースがあるのですが、そういう時にもワンクリックでエクスポートして報告できるので、1人セミナー担当としてはそういった「省力化があたり前にできる」というのはありがたいです。
─他にはウェビナー施策ではどのようなツールを活用されていますか?
新井あとはHubSpotですね。Biziblに参加申し込みが入ったらHubSpotに自動で情報が連携されて、そこからSlackに通知が来てすぐに対応できるようになっています。通知内の申込者情報を見て、「こういう属性の方が多いなら、このトピックについてもウェビナー内で触れるようにしよう」などとウェビナーコンテンツの微修正を行ったりもしています。
─ウェビナーの募集をかけ始めた後にも、参加者に合わせてコンテンツの調整をされているのは素晴らしいですね。
新井若干ではありますが、少しでも興味の持てるコンテンツになるようにはしています。
ハウスリストを酷使しない戦略
─冒頭でも挙がったようにアーカイブ含めてかなりの数のウェビナーを毎月実施されていますが、ハウスリスト中心に集客をかけていると、ウェビナー施策あるあるでどうしても分散したり飽きられたりして、集客が0の回が出リスクなどもあるかと思いますが、そのあたりはどうされていますか?
新井実はライブ配信とアーカイブ配信では完全に住み分けをしていて、ライブ配信とその直後の2日間のアーカイブ配信についてはリード獲得を目的にしっかりハウスリストに集客をかけていきますが、他のアーカイブ配信については冒頭でお話しした通りSEOが主目的なので、ハウスリストには一切告知せずにオーガニック流入のみで申し込み0でもOKというものになっています。
─それはとても戦略的で面白いですね。「ハウスリストに集客をかけないウェビナー」というのは目から鱗です。ライブ配信の方は、ハウスリスト以外の集客チャネルはありますか?
新井最近はXからの集客も増えてきているのと、配信数はそこまで多くないですが弊社のYouTubeを見てウェビナーにも参加されるケースもあります。あとは広告を出すこともあります。
─広告の出稿媒体はどんなものがありますか?
新井現状100%Xですね。
─Xのみに出稿しているのはどのような背景がありますか?
新井CMOの石田のポストの一部を広告化しているのですが、その方法であれば石田のXアカウント自体のファンも増やしていくことができるので、そういう面でX広告を選んでいます。
石田さんのXアカウントには役立つSEO関連のポストが多数
─一部のポストということですが、広告化される際の基準などは何かありますか?
新井カンファレンスなどに参加した時に参加基準として「各社xx以上集客」といったものがあった場合に、それの達成確率を高めるために広告を利用するという形です。対外的な目標にはしっかりコミットしていく、という感じです。
2社共催とカンファレンスはメリデメで使い分け
─目標の話が出たので、可能な範囲でウェビナー施策のKPIと目標などをうかがえますか?
新井ウェビナー施策としてのKPIは申込者数で、月で50というところをベースに、+αの企画などでどれくらい上積みできるか、という感じです。インサイドセールスのKPIは商談化数になります。
─アーカイブについては集客を目的としていないとのことでしたので、ライブ配信の方で達成していくということになるかと思いますが、行動目標は設定されていますか?
新井現状は月3本新しいウェビナーを配信するのが目標ですね。その中でも、自社単独1本と共催2本であったり、共催1本とカンファレンス1本という風に分けることができると理想的です。
─様々形態組み合わせつつということですが、2社共催とカンファレンスは貴社内ではそれぞれどのような位置づけですか?
新井カンファレンスは基本的に他社主催のところに参加させていただくことが多いのですが、既にテーマや企画が決まっているので、自社での企画検討や完全新規のスライド作成などが無い分実はそこまで工数はかからなかったりします。一方で、企業数が増える分自社の持ち時間が短くなって、なかなかアピールはしづらいなと感じています。その分商談にもつながりにくいイメージです。
逆に、2社共催の場合はテーマの住み分けや微調整が必要だったり、企画やコンテンツもなかなか使いまわしできないので新規で作成する必要があったりで、割と大変ではあります。ただ、事業領域の近い企業から外部リンクを獲得しやすいので、SEOの面でメリットがあると考えています。
─なるほど、一長一短ですね。それぞれメリットデメットがある中で、取り組む上で何か工夫されていることなどはありますか?
新井カンファレンスで以前試してみて効果があったのは、アンケートの設問方法ですね。カンファレンスの場合参加企業が多い分だいたいアンケートは1社1問とかになって、そうなるとどうしても1問の中でできる限り多くの情報を得たいと思ってしまうのですが、そこであえて選択肢を「SEOに興味がありますが?はいorいいえ」と2択にしました。そうすると、参加者の6割くらいが「はい」を選択されて、それをフックにコールにつなげることができて、商談も創出することができました。参加者側からすると、アンケートの設問が多い中で、ポンとシンプルな2択があると選択しやすいのかなと分析しています。
─参加企業が多いかつリード数も多いカンファレンスならではの工夫ですね。
支援会社ならではの悩み
─先程テーマについて少し話がありましたが、ウェビナーのテーマはどのように決められていますか?
新井単独の場合は現状2軸あって、1つは弊社の被リンク獲得サービスにつながるようなテーマとして「SEOの外部対策」というものを増やしていて、もう1つはGoogleの定期アップデートがあった際には、その内容に合わせた解説などをテーマにしています。
共催の場合は、幸い弊社がデジタルマーケティングを網羅的に支援しているので、共催相手の打ち出したい内容に合わせて立ち回るようにしています。
あと今後は事例ウェビナーもやりたいとは考えていますが、まだ実施には至ってない状況です。
─確かに、実際のユーザーに改善事例を話してもらえるとコンテンツとしては強いですよね。
新井そうですよね。ただ弊社の提供サービスの特性上、ユーザーさんに「ウェビナーで自社の取り組みを話した結果競合に同じことされたら困る」という企業が多かったりするので、なかなか難しいというのが現状ですね。
─主にノウハウ提供をする支援会社ならではの悩みかもしれませんね。
新井まさにそうですね。支援会社ならではという意味では、ウェビナーコンテンツの中でどこまで情報を提供していくのか、というのも悩ましい課題の1つです。
直近では共催に注力しつつ、チャレンジしたいイベントも
─最後に、単独・2社共催・カンファレンスなどの注力方針など、今後の展開についてお聞かせください。
新井前提として、カンファレンスは基本的にお声がけいただいたら参加するという状態なので、それありきでは考えずに、まずは自分たちでしっかり企画を作っていくというところにベースは置いています。その中でも、単独よりは2社共催に注力していきたいと考えています。
一方で、まだアイディアレベルではありますが、将来的にはSEO特化のカンファレンスをやってみたいと思っています。海外だとSEOのカンファレンスは結構盛んに行われているようなのですが、国内では有名なイベントは聞かないので、そういったイベントをオフラインも含めて主催できるといいなと考えています。
新井さん、ありがとうございました!
─ありがとうございました!今後の展開も楽しみにしてます!
https://n-works.link/seminar
さて、今回は株式会社ニュートラルワークスさんへのインタビューレポートをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?
- アーカイブ配信の活用法
- ハウスリストを酷使しないための選択と集中
- カンファレンスにおけるアンケート戦略
- 支援会社ならではの課題
などなど、とても参考になるお話ばかりでしたね。
すぐに使えるTipsも多かったのではないでしょうか。
皆さんも、「取り入れてみたい!」と思った話や「ここもう少し知りたい」などがあれば、ぜひSNSで教えてください!
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