【<エッセンシャル版>担当者に聞いてきた!】株式会社ラクスさん編
2024/03/18
こんにちは、BtoBセミナーlab.研究員の田中です。
BtoBセミナーlab.では、ノウハウやレポートなど、BtoBにおける様々なセミナー(ウェビナー)関連情報をお届けしています。
本日は、セミナー担当者・ウェビナー担当者の業務を深掘りしてセミナー・ウェビナー運営業務への理解を深めるべく、株式会社ラクスさんにインタビューをしてきた結果をエッセンシャル版としてレポートします!
【担当者に聞いてきた!】株式会社ラクスは中規模ウェビナーでリード獲得効率を最大化する
「ITサービスで企業の成長を継続的に支援します」をミッションに、SaaSなどのクラウドサービスやIT人材の派遣事業などを行う株式会社ラクスさん。楽楽シリーズ(楽楽精算・楽楽明細・楽楽販売)のテレビCMを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
そんなラクスさんのクラウドサービスの中でも、問い合わせ管理システムの「メールディーラー」やメールマーケティングサービスの「配配メール」など、フロントオフィス向けのサービスを取り扱うラクスクラウド事業本部でセミナー・ウェビナー施策を担当する宮坂さんと、マネジャーの窪田さんにお話をうかがってきました。
ラクスクラウド事業本部 ラクスクラウド企画部 オンラインプロモーション課 課長
ラクスクラウド事業本部 ラクスクラウド企画部 オンラインプロモーション課
目次
オンラインプロモーション施策の1つとしてウェビナーを実施
─まずはセミナー施策の取り組み体制について教えてもらえますか?
窪田私達は今オンラインプロモーション課というチームでやっていて、基本的にはその名の通りオンラインのプロモーション施策を担当しています。
その中で、ウェビナーについてもオンラインというくくりでやっているのですが、チームのミッションとしては「新規リードの獲得」というところがあるので、ウェビナーの中でも新規リード獲得をメインとした共催ウェビナーを主に実施している状況です。企画部としては単独ウェビナーも行っているのですが、そちらは主に自社のハウスリスト向けのナーチャリング施策として、別のチームが動いています。
─ウェビナー以外には、どのようなチャネルを担当されているのでしょうか?
窪田リスティングなどのweb広告や、オーガニック(SEO)といったwebまわりのチャネルですね。
宮坂弊社で運営している「メルラボ(Mail Marketing Lab)」のメルマガ会員向けのナーチャリングについては、配配メールの新規リード獲得施策という位置づけで私達のチームが担当しています。
─チームの構成はどのような形でしょうか?
窪田現状マネジャーの私含めて9名で構成されています。
役割分担としては、リスティング広告等のPaid領域のユニット、非Paid領域としてオーガニックをメインとしたSEO・webサイト運営まわりのユニット、メルラボとプラスアルファのユニット、そしてウェビナーのユニットでそれぞれ担当分けしています。
ただそれはあくまでも主担当としてであって、それ以外にも副担当という形でだいたい1人2領域くらい見ている状態ですね。
─なるほど。その中で、ウェビナー担当の宮坂さんはどのような領域を副担当として持たれていますか?
宮坂今はメルラボのユニットで新規会員獲得のための施策を考えたり、他にもコンテンツグループとしてコンテンツの作成や管理に携わっています。
─結構やること盛り沢山ですね。そうなると、主担当であるウェビナー施策には全工数の中でどれくらいの割合を割けているのですか?
宮坂現状は95%くらいウェビナーに割いていますね。
今後は残りの5%の部分を増やしていきたいと思っているのですが、今の段階では共催ウェビナー全体のノウハウを持っているのが私だけなので、全体進行で手を動かしながら、ディレクションもして一部のタスクのみ他のメンバーに切り出している状態です。
先々のことを踏まえると、ノウハウを言語化・共有して誰でも再現可能にするというのは、取り組んでいかなくてはならない課題だと考えています。
─プロダクト間の工数配分はどのようにされていますか?
宮坂今は配配メールが6~7割くらいで、残りがメールディーラーという感じですが、プロダクトのLTVなどを考えると、今後は割合を逆転していかないといけないと考えています。
でも工数を減らしたからと言って配配メールのウェビナー経由リードを減らす訳にはいかないので、同時に獲得効率を上げていく必要があります。
リードの獲得効率を高めるためのアプローチ
─獲得効率を上げていくというテーマに対して、今の時点で見えている方向性のようなものはありますか?
宮坂はい。1イベントあたりの集客数や獲得リード数を増やしていくことが重要と考えているので、その手段としてカンファレンスのような形での開催を増やしたいと思っています。
2社共催よりも共催社数が増える分1回あたりの工数は増加しますが、1カンファレンスあたり500名などの集客ができれば、年間のイベント開催数を減らすことができ、獲得効率が高まる想定です。
─カンファレンスの開催となると、2社共催とはまた運営も変わってくると思いますが、例えばこの記事を読んでいる方が「カンファレンスにチャレンジしよう」となったときに気を付けておいた方がいいこと、意識しておいた方がいいことなどはありますか?
宮坂そうですね、まずは一緒に参加する企業の数が普段のセミナーより多くなるので、がっつり競合同士になる企業へのお声がけは慎重に進める、集客力の差ができるだけ生まれないようにするなど、そういった取り合わせの部分は気を付けたいですね。
幸い、配配メールは共催ウェビナーを何年もやっている中で他社さん主催のカンファレンスにおよびいただく機会もあったので、こういった機会に求められるだいたいの集客の相場観がつかめているというのと、自社ハウスリスト内の皆さんのニーズや好みそうなコンテンツの傾向も把握できているので、そこに合致しそうでかつ集客力もある企業にお声がけする、というのはできている状態です。
─先日も4社で共催されてましたよね。
インタビューの前週に開催されていた、ラクスさん主催の4社共催ウェビナー
宮坂はい、自社主催のああいった規模のイベントは定期的に開催していきたいですね。
窪田我々の中で、10社程度が集まる大規模なものをカンファレンス、4社共催くらいを中規模セミナー・ウェビナーと便宜的に呼称していて、中規模のものを四半期に1回という形で定期的にやろうと計画しています。
宮坂一方で、メールディーラーの場合は中規模のセミナーやカンファレンスを主催するというのはまだ難しいと考えています。
何社も集まって集客し合いながら成功させましょう、というイベントなので、参加するにあたっては自社に一定の集客力と、企画力も求められると思っています。
そういった面で、メールディーラーはまだどういったテーマならどの程度集客が見込めるのか、ということもつかめていない状況なので、いきなりカンファレンスというのは飛躍しすぎているかなと感じています。
─なるほど。では「カンファレンスにチャレンジする」という場合には、そういった部分が自社で把握できてないと難しいということですね。
宮坂そうですね。こういったテーマであれば過去の実績からこのぐらい集客できる、という数字を作っておくのが大事だと思います。
─こういう共催企業との組み合わせなら成功確率が高いという選定基準を、これまでの成功体験を基に作っておくことと、過去実績を基に自社における共催テーマ別集客数見込みをベンチマークとして持っておくこと、この2点を意識した方がいいということですね。
宮坂はい、その2つが大事ですね。
あと、企業やサービスとしての相性はもちろんですが、可能であれば登壇者の相性も考慮できると参加しやすいかなと思っています。
─それはとても興味深い観点ですね。
宮坂例えば、過去に別のイベントでご一緒されていた経験があるとか、X(旧:Twitter)で仲良くやりとりされているとか、そういった部分も可能な範囲で気にかけていきたいです。その他、イベント担当者と登壇者の連携がどのくらいとれているかもおさえておきたいですね。登壇者との事前の認識共有や連携が甘く実際に起きてしまったケースとしては、初学者の方がメインターゲットのイベントで、パネルディスカッション中に専門用語が多く飛び交ってしまう、ノウハウ系のウェビナーで、伝えたい想いが先行するあまり提供サービス説明の時間が多くなってしまい、予定時間をオーバーしてしまうなどがありました。
─なるほど、そういうことですね。それは確かに共催ウェビナーやカンファレンスをする際に結構重要なポイントな気がしますね。
登壇者自身のキャラクターみたいなところももちろんあるとは思いますが、共催相手の社内でのコミュニケーションがちゃんと取れているか、担当者間だけではなく登壇者まで含めてしっかり握れているか、というのはすごく大事な観点ですね。
宮坂最近はカンファレンスに呼ばれると、各社にしっかり「ターゲットはこういう層ですよ」という説明があったり、「全体のうちの営業トークの割合はこれくらいに留めてくださいね」、「持ち時間はこれくらいで、それを過ぎるとこういう措置をします」など、細かなルールが整備されてきて、そういった事故を未然に防ぐように運営がブラッシュアップされてきているなと感じます。
今後は共催候補の企業リストの管理も
─少し戻ってしまうのですが、先程「集客力に大きく差が生まれないように気を付ける」というお話がありました。とは言え実際にはそういうケースもあると思いますが、そういう時はどうされてますか?
宮坂自社が主催で中規模ウェビナーをやる場合ですが、最初の時点で「1社あたりこれくらい集客して、合計で何名を目標にしましょう」という話をすると、「うちはそのテーマだと集客厳しめかもしれません」といった反応をする企業ももちろんいます。
ただこちらもその企業がどういうプロダクトを持っていて、どういうテーマに強いというのはわかってお声がけしているので、あまり無理難題は言わず「全体で目標達成をする」ことを重要視して各社合意を得るようにしています。
窪田そもそもそういう企業はコンテンツ面で支援していただくイメージでお声がけしている、というのもありますね。
宮坂集客数に固執してしまうと、集客はできても届けたいコンテンツが届けられずにイベントの質が下がってしまうので、コンテンツの質と全体の集客力のバランスを考えながらお声がけをする企業を選定しています。
─既存のネットワークの中からバランスが取れる企業を選定するのは結構難しそうですね。
窪田そうですね。実はその先日の4社共催も、裏ではもっとお声がけはしてたりします。
─ちなみに、共催のネットワークの管理というか、お声がけできる企業とかはリスト化等されていますか?
宮坂今はできていないです。今後私以外のメンバーも共催ウェビナーを企画するとなると、既存のネットワークをうまく活かせない可能性がありますね。
逆に他の企業はどうやって管理されているのか知りたいですね。
窪田配配メールでは「法人向け/個人向けかビジネスモデル」「おおよその保有アドレス数」の2軸で、架電などの対応優先度を切り分けています。その優先度順に"ティア1~3"などと呼んでいるのですが、ウェビナー施策でもそれぞれに合致する参加者がどれくらいだったかというのを指標として見ているので、共催相手から送客頂ける新規リストのティア1含有率などの情報も今後は管理していけると良いなと改めて感じますね。
ウェビナー施策のゴールとKPI
─ちょうど指標に関するお話が出たので、ここからはウェビナー施策の目標などについてうかがっていければと思います。現状ウェビナー施策ではどのようなKPIを持っていますか?
窪田ウェビナーで獲得したリードをパスした先のISチームでの獲得アポ数を、施策のゴールという形で目標として持っています。細かくは、ティア1のアポ数ですね。
─ということは、ウェビナーに参加していただく時に、保有リスト数とかの情報を入れてもらっているということですか?
宮坂はい、参加申し込み時の必須項目としてフォームに加えていて、そのデータを基に参加者の中でティア1に属する方に優先的にISチームが架電する流れになっています。
─ゴールであるアポ数に最も影響を与えると考えている指標は何になりますか?
宮坂個人的にはアンケートの回収率でしょうか。
回収率はアンケートの取り方によって変わる印象ですが、アンケートの回答内容を目印に優先順位を付けて架電するので、重要と考えています。
─なるほど。アンケートの回収率って、一定ウェビナーの満足度とも相関するかと思うので、参加者側の意欲の高まりを測る面でも重要ですが、運営においてもアフターフォローの優先順位付けて効率化するという面で確かに重要ですね。
毎月のアポ数目標の達成に向けて、ウェビナーの開催頻度はどれくらいですか?
宮坂だいたい月1~3回くらいの頻度で共催ウェビナーを開催するイメージですね。
ただこれはあくまでも1つのプロダクトなので、実際にはこの倍開催することになります。なので、これをいかに少なくしていくかということが大事になってきます。
あとリード獲得の効率化という面ではアーカイブ配信もしているので、走っているLPの数で言うと最大で月に8つとかになりますね。
─それを1人でやってるというのは、すごいですね!
宮坂それだけの数をやっていると、集客メールも混線してくるので、共催ウェビナーを組む時にはテーマやキーワードなどが直近のものと被らないようにうまく交通整理をしながらスケジューリングしています。
─以上でインタビューは終了となります。本日はお忙しい中貴重なお話をありがとうございました!
配配メール サービスサイト https://www.hai2mail.jp/
メルラボ https://mailmarketinglab.jp/
メルラボ セミナー一覧 https://mailmarketinglab.jp/seminar/
さて、今回は株式会社ラクスさんへのインタビューレポートのエッセンシャル版をお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?
- ウェビナー施策におけるリード獲得効率向上へのアプローチ
- カンファレンスにチャレンジする際の準備と心構え
- ウェビナー施策のゴールに対する考え方と指標
など、とても参考になるお話ばかりでしたね。
皆さんも、「取り入れてみたい!」と思った話や「ここもう少し知りたい」などがあれば、ぜひSNSで教えてください!
なおフルバージョンのレポートでは、エッセンシャル版には収まらなかった以下のお話が含まれています。お時間のある方はぜひフルバージョンも読んでみてください!
- 他チームとのコラボレーション
- コンテンツ作りの考え方と情報収集
- 共催ウェビナーにおける品質管理
- 共催企業のネットワーク構築苦労話
- アポ数の目標値や獲得効率
- 共催ウェビナーの失敗談と対処法
【担当者に聞いてきた!】株式会社ラクスは中規模ウェビナーでリード獲得効率を最大化する
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*インタビュイーの所属名や肩書を含め、本記事に記載されている内容は全てインタビュー当時の情報となります